異物検査に使うセンサーの色々

製品の品質管理に欠かせない異物検査には、多様な種類のセンサーが利用されます。検査対象物の性質や利用目的、どんな異物が混入する可能性があるのかを考えると、現場によって必要なものは千差万別でしょう。この記事では、異物検査の必要性とともに、どのようなセンサーが登場しているのかについて、見ていくことにします。

「異物検査の重要性や燃焼試験の内容について」

従来から異物検査は重要な作業で、顧客からの信頼と企業イメージを守るためには、欠かせないものでした。異物混入事故は時に、顧客との取引停止に陥ったり、利用者に被害が及べば損害賠償責任が生じたりするなどのリスクがあるためです。

このリスクに関してですが、近年はメディアやSNSの発達により、以前に比べて問題が大きくなる可能性が高まってきました。マスコミが報道に使う媒体が増えていることもあって、小さな問題でも取り沙汰されやすく、加えて何らかの問題があれば、個人消費者がSNSに情報をアップし、騒ぎが大きくなる傾向があります。

これによって、従来なら謝罪や損害賠償で済んでいたものが、大々的に報道・公開されることで批判が殺到し、企業イメージに大きな損失を被るリスクが高くなっているのです。

法律遵守や品質管理に関して、人々の目が厳しくなっているのが、この傾向を加速させている一因と考えられます。

このように、異物混入事故が発生すると、大きなリスクが生じかねません。しかし、逆に事故になるのを防ぐことができれば、企業・ブランドイメージの良化に好影響が期待できます。現在はネットの発展もあり、「無事故・高品質」と言った部分についても、情報発信がされやくなりました。

結論としては、こうした時代の流れから考えてみると、異物検査の強化に関しては積極的な検討が好ましいと言えます。

異物検査に関して利用されるセンサーは、仕組みとしては外観検査と、X線などの内部を透過させて調べるタイプに大別されます。外観検査は目視によって行うこともありますが、現在ではデジタル写真とセンサーの組み合わせで、自動的に異物混入を察知できるようになりました。

同時にパッケージ破れや瑕疵の発生、寸法ミスなども同じ方法で検査することが可能です。他方の内部透過型は、X線や超音波を使って製品内部を検査する手法となります。言うまでもなく、見た目ではわからない対象物であっても、異物を検査できるのが強みです。

外観検査は人間の目視検査に変わる仕組みとして、導入が広がっています。目で見て「おかしい」と思ったら対処をしていく、と言う昔ながらの手法を、画像処理システムで行おうと言うわけです。これは人間がやると、特に細かい部分については職人技が要求される他、24時間監視のシステムを運用するのは難しい面がありましたが、機械化することで精度・効率ともに大幅な改善が期待できます。

この外観検査については、画像センサーを使ってシステムを構築していくケースが増えてきたようです。その特徴は解析精度の高さで、0.1mm程度の異物でも検出できるものも登場してきました。

スピードに関しても高速で、効率的な検査が行なえます。

もちろん、機械は人間と違って疲れしまわないので、安定性と言う点でも長所があるでしょう。一方で、デメリットに関しては、写真撮影をするので、そのための技術が必要な点が挙げられます。対象物に対して適正に焦点をあわせて、照明についても工夫しないと本来の性能を発揮できません。

このために、導入の際には専門業者のサービス品質も重要になるでしょう。

異物の検出に関して、伝統的に使われてきたのが金属検出機です。これは磁気センサーを利用した仕組みを持っています。磁気は金属に近づくと変化する特性を持っているのですが、この原理を利用して鉄などの混入を検出しようと言うものです。

この方法は、特に食品製造において利用されることが多くなっています。食品製造においては、加工用機械を使うことが多くなっていますが、これが劣化して錆が混入したり、部品が脱落したりするケースがしばしばあるのです。

特にボルトやナットが脱落して混入していたケースでは、消費者が怪我をし、大きく報道されたことがありました。性能に関しては改善が進んでおり、極小の金属片でも検出できるモデルが登場してきています。具体的には、直径0.2mmで長さ2mm程度の試験片を検出できたものもあるようです。

このあたりに関しては、実際の使用環境で検出限界が変わってくるので気をつけましょう。なお、検出できる金属は鉄の他に、ステンレスやアルミなども対象にできるのはメリットです。ただし、検出対象は広いとは言っても、残念ながら石や木片などには対応がありません。

X線を使って対象物を透過撮影し、異物を検出する仕組みを持っているタイプがX線検査になります。

画像を撮影する点では外観検査と変わりませんが、X線センサーを使うために、目視では見えなかった対象物内部の問題を確認できるのが最大のメリットです。

現在はX線センサーを複数組み合わせることで、検出高めているモデルも増えてきました。この方法は色々な分野で利用できますが、例えば服飾業界では有利と考えられます。衣服を製造する時には針の混入が心配ですが、X線では布などの生地は透過しても、金属部分は鮮明に撮影できる特徴があり、これによって異物を検出しやすいのです。

金属検出機でも良いと考えるかも知れませんが、これですと衣服のジッパーや金属ボタンなどに反応する恐れがあります。また、X線センサーに検出用のソフトウェアを組み合わせることで、自動的に異物を判別できる機能も登場しており、これは有用性が高いです。

衣服ではボタンと針の形状をソフトにインプットしておき、丸い金属ならセーフ、尖った形状ならアウトと言うように、自動的に判別させることもできるようになっています。

超音波検査は、医療現場で使われるエコー診断の仕組みを応用しているのが特徴です。こちらもX線同様の透過型ですが、放射線を使わないので被曝リスクがありません。加えて、X線では検出できないような対象でも、超音波なら対応できるのではと言う期待が持たれています。

現在はまだまだ発展途上の方法と言えますが、その魅力は大きいと考えられており、注目が集まっているようです。

参考情報→食品異物検査